【アコム】マイナス金利のメリットを享受する代表的な業界は消費者金融


業績絶好調の【アコム】が本日決算発表。

同時に発表した中期経営計画の数値もたいへんアグレッシブな内容です。(参照:IR情報

 

日銀のマイナス金利が今年1月に発表された際、銀行の株価は暴落しました。銀行にとってマイナス金利は、日銀預入や国債利回りといった運用利回りの悪化を意味します。

ここで見落としてならないのは、こうした運用利回りは悪化しても、調達利回り(銀行の場合は我々の預金)は、(少なくとも当面の間は)マイナスにはできない、という点です。調達コストがさほど変わらない中、運用利回りが悪化するのだから、業績悪化⇒株価下落は必然のシナリオです。

 

では、この逆の現象が起きる投資妙味の高い株式銘柄はないでしょうか。

そうです、消費者金融です。

消費者金融にとってマイナス金利は、調達利回り(主に銀行借り入れ)の下落を意味します。ところが、彼らにとっての運用利回り、すなわち消費者ローンの貸出金利はそれに合わせて下げる、という声は聞こえてきません。住宅ローンやアパートローンの金利はマイナス金利のおかげで下がっても、消費者金融の金利が下がる、といった話が聞こえてこないのは、考えてみれば不思議な話です。が、そんな巧みな交渉をするような人は、そもそも消費者金融でお金を借りる人ではないのでしょう(笑)。

 

アコムの2016年3月期の営業収益2376億円、営業利益155億円ですが、2017年3月期は、営業収益はさほど変わらない2432億円の予測に対して、営業利益は300%超成長の648億円を予測しています。

 

アコムの決算短信、および決算説明会資料で「マイナス金利」と検索しても、1か所もヒットしません。アコムの飛躍的な業績改善のもっとも大きな理由でありながら、公的資料ではまったく言及されないくらい、アコムにとって「マイナス金利」は、触れてほしくないブレークスルーなのでしょう。

 

つぶさに資料を見ると、こんな言葉は見つかりました。

「調達環境改善の中、借入の入替が進み、同46bps低下の1.48%」

有利子負債6500億円の46bpsは約30億円。今年度は年間通してなので、さらに大幅改善となることでしょう。

 

消費者金融にかかわらず、昨今の金利下落、資源価格下落、ドル下落といった調達コストの下落が、そのまま販売価格の下落には直接結びつかない企業。こうした企業こそ、有望な株式投資銘柄ということになっていくのでしょう。

 


著者

大津 広一

株式会社オオツ・インターナショナル代表
米国公認会計士、経営コンサルタント

早稲田大学大学院ビジネススクール客員教授
多摩大学大学院ビジネススクール客員教授
慶應義塾大学理工学部管理工学科非常勤講師