伊藤忠商事の決算が昨日(6日)に発表されています。

資源価格の下落によって大手総合商社が軒並み大幅利益減や赤字に陥る中、これまで非資源分野に力を入れてきた伊藤忠が、初の総合商社トップの利益を稼いだと、メディアでも取り上げられています。

伊藤忠商事の投資家情報サイトにアクセスし、「IR決算プレゼンテーション資料」というPDFファイルを開くと、セグメントごとの利益動向や、中期経営計画の進捗が詳しく説明されています。

そして、どの「利益」で決算を語っているかに注目すると、「売上総利益」と「純利益」であることが分かります。大手総合商社が営業利益や経常利益で決算を語ることは、まずありません。

この理由をしっかりと説明できる方は、総合商社の事業構造、ならびに国際会計基準(IFRS)をきちんと理解できているということになります。

 

プレゼン資料でその他参照するに値する個所を紹介しておきましょう。

  • 非資源/資源利益の貢献を示している(←資源一辺倒ではない、非資源に強い商社というアピールでしょう)。
  • リスクアセットとリスクバッファーという定義を示し、自社のリスクがコントロール下にあることを示している。この考え方は、大手総合商社では良く使われます。
  • 「実質的なFCF」という自社独自のFCFをKPIとし、その算出根拠も明示している。こうした自社が大切だと考える計算式を作ってKPIとし、それで企業動向を説明していく姿勢は、日本企業にもっとあって良いことでしょう。
  • セグメント毎に、各事業会社がいくらの利益貢献をしているか、また今年度はどれだけの利益貢献をする予定なのかを、固有名詞をもって示している。ホールディングス化する企業が増えていますが、どこまで個別事業会社の数値を開示しているかは、情報開示姿勢を占う試金石です(例として、セブン&アイ=○、イオン=×)。
  • 為替想定は1USドル110円とし、1円の円高で15億円の純利益減としている。
  • CITIC/CPグループとの提携進捗について、1枚のスライドを使って説明している。伊藤忠の将来を担う、重要な提携は今後の注目です。