GWも終わり、3月期決算企業の決算発表真っ只中のシーズンに入っていきます。今日5月6日はGWと週末の間の1日なので比較的少なめですが、それでも伊藤忠商事、長瀬産業、チムニー、ダイドーなどが年度決算を発表します。

今後10日間の決算発表企業は、こちらから一覧で確認すると良いでしょう。

 

決算発表の新聞記事や、企業のIRサイトでどのような点に注目すると良いか、3つの観点を紹介しましょう。

 

1.どの利益で語っているか?

日経新聞を見ていると、「○○社、営業減益○億円」や、「経常利益○%成長」など、企業によって使用されている利益はマチマチです。

日経新聞は企業が強調している利益をそのまま使って記事を書くケースが多いですが、読者である私たちはそこで立ち止まって、「○○社の経常利益が書かれているけど、本当は純利益で語るべき企業ではないのか?」、「△△社は、なぜ敢えて営業利益で語っているのか?」と自問してみると良いでしょう。

その背景には、業界特性(スクラップ&ビルドの特損ブレが大きいので、経常利益で語りたがるなど)、アピールしたいポイントや、逆に触れたくない、触れてほしくない事実が隠れているかもしれません。

 

2.新年度の予測数値はどこまで明確 or 曖昧であるか?

上場・公開企業は、決算発表のたびに年度決算の予測数値を原則開示することが義務化されています。決算短信表紙の一番下で確認すると良いでしょう。この情報開示の点については、海外企業よりも日本は前向きといえば前向きです。

ところが昨今の不確実な環境下、決算予測数値をレンジで示したり、あるいはまったく開示しない企業も増えてきています。投資家であれ金融機関であれば、最終的に企業に対する関心は過去の結果ではなく将来の予測です。その予測を企業がどこまで明確or曖昧に語るのか、売上、利益の金額だけでなく、投資予算、研究規模、商品構成、セグメントの変更、為替水準等などについて、注目してみましょう。

 

3.逃げ込み特別損失はどこまであるか?

2012年12月に始まったアベノミクスも息切れ感を見せ始め、特に急速な円高によって輸出企業の業績悪化が懸念されてきています。たとえ輸入企業で仕入れコストが下がっても、景気が悪化すれば、期待した販売価格や数量は維持できないため、円高=輸入企業の業績改善、とはなりません。

2016年3月期までは良かった決算が2017年3月期には急速に悪化する懸念が高まる中、膿は早めに出してしまおうというような、「逃げ込み特別損失」に、本決算は注目すると良いでしょう。5月4日の日経新聞朝刊の1面にあった、「伊藤忠が一転減益 非資源でも減損」などは、その典型と思われます。

もちろん、「逃げ込み特別損失」によって、翌年度以降の減価償却費や人件費などが減少すれば、景気悪化や円高不況の影響を緩和できることは間違いありません。その点においては、「逃げ込み特別損失」も実は、株価維持・上昇の一因になると言えるかもしれません。