ビジネススクールで身につける 会計力と戦略思考力 ビジネスモデル編
〜 なぜユニクロとニトリの決算書は似ているのか?(日経ビジネス人文庫)

本書の内容

会計力と戦略思考力 ビジネスモデル編

本書は、優れたビジネスモデルを保有する実在する企業の実際の決算書が、どういった決算書の構造によって形成されているかを学ぶことに主眼を置いています。企業のビジネスモデルと決算数値の関係性を考察するアプローチが習得できれば、それはあらゆるビジネスモデルの分析にも応用できるものです。本書では9のステージで、合計20の企業や30の業界を見ていきます。

前半は同種の事業を営む2社ないし3社を比較しながら進行します。読者に考えながら読んでいただくため、前著同様に最初はすべてクイズから始まる形式としてあります。どうぞ読者ご自身の頭で考えながら読み進めてみてください。登場する企業も、三越伊勢丹、ユニクロ、ABCマート、ニトリなどの身近な小売業に始まり、ウォルマートやH&Mといった海外企業、イオンモールやJR3社などのサービス業、さらにはカルビーを初めとする製造業も見ていきます。また業界別の平均値もたくさん含まれていますので、自社の水準がどういった位置にあるかを確認し、その違いはどのような戦略やビジネスモデルの違いから来るかを考察する機会としてみてください。

書籍の後半では読者ご自身の会社をROAに始まり、詳細に分解していく演習も含めています。ご自身の決算書を本書の横に置いて、電卓をたたきながら読み進められることをお勧めします。また、さらに上位を目指す方のために、最後にアドバンス編として、ROAとROICの違い、ROAと資金調達の関係性、さらには傑出したビジネスモデルからくる傑出した決算書を紹介しています。すべて読者の皆さんが良く知る実在する企業をケースとして執筆していますので、実態感を持って読んでいただけると思います。

 

本書のケーススタディに登場する20の企業(掲載順)

三越伊勢丹|ユニクロ(ファーストリテイリング)|しまむら
ABCマート(エービーシー・マート)|ニトリ|JINS(ジェイアイエヌ)
ウォルマート|H&M
イオンリテール|イオンモール
スタートトゥデイ|台湾ホンハイ
わらべや日洋|カルビー
JR東日本|JR東海|JR西日本
三菱食品|コマツ|ソフトバンク 

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本書籍執筆への思い

ビジネスモデルという言葉は語られて久しいですが、多くの場合、利益を生み出すうまい仕組みは語っても、実際にそのビジネスモデルを実行することによって、どのような収益や費用、資産や資金調達の構造を持つ必要があるかの説明にまで至っていません。

どんなに美しいビジネスモデルのストーリーであっても、それを実現するには多くの費用や資産への投資、あるいはそれに伴う相応の資金調達をしなくてはならないのです。そうでなければ、ビジネスモデルは夢物語で終わってしまうか、後になって「こんなはずではなかった」と後悔するばかりです。

たとえば、「H&MやZARAのような欧米アパレルのファストファッションのビジネスモデルは、在庫売り切り商売なので保有在庫は少ない」といった説明がよくされています。一見正しい理屈に見えますが、実際のH&Mの決算書を見てください。他の小売業に比べてもファストファッションだからこそ、実際には巨額の在庫投資をしなくてはならないことが分かります。

さまざまなビジネスモデルのあり方を知り、それを自社に照らし合わせて新規事業や新たな製品・サービスを創り出そうとすることには大いに賛成です。優れたビジネスモデルを自社でも具現化するうえで、どのような費用や資産への投資が必要かを同時に考えることの重要性を伝えたい。そんな思いを持って、本書の執筆を行いました。

 

本書を読んで欲しい方

本書は、2007年8月に初版を出版し、その後増刷を重ね、2013年10月に改訂新版を出版した『ポケットMBA(4) ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力〈新版〉』の姉妹本です。前著で損益計算書、貸借対照表の基本的な構造を理解し、戦略の違いが決算書の各数値にどのような違いとなって表れるかに関心を深めた読者には、さらなる多くの実際の企業のケーススタディを通して、「会計力と戦略思考力」への洞察を深めていただければと思います。

一方で、本書は前著の姉妹本ではありますが、前著の終わりからそのまま継続している内容ではありません。前著を読まれていない方でも、本「ビジネスモデル編」から読み、さまざまなビジネスモデルの違いが決算書の数値に具体的にどのように表れているかをクイズ形式で読み進めてみてください。その後で前著をお読みいただき、損益計算書と貸借対照表の全体像をあらためて確認するのもよいでしょう。

 

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