【ROEを斬る Series 3】ROEを要求する投資家たち


 

 企業年金連合会という組織をご存知ですか?

 彼らのweb上を見ると、

 「厚生年金基金を短期間(通常10年未満)で脱退した人 (中途脱退者)等に対する年金給付及び厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金といった企業年金間の年金通算事業を行っており、これらの年金給付に必要な原資(受換金等)を各基金、企業から引き継ぎ、年金給付を将来にわたって確実に行うために必要となる運用収益を確保できるよう、資産運用に関する業務を行っています。平成18年3月末の資産残高(時価)は約12兆6千億円となっています。」

とあります。2007年7月15日現在の会員企業数が1,463社におよぶ一大組織です。

 そしてこの企業年金連合会は、株主総会において取締役の再任に賛否の判断をする基本条件のひとつとして、以下のようなROE基準を設けています。

 「過去3期連続してROE が8%を下回る企業については、その原因や対応策を含め、事業計画や資本政策等について納得のいく説明が得られない場合、再任候補者に肯定的な判断をしない。」

 実際に議決権行使対象企業808社のうち、ROE8%以下の企業は271社に上ったそうです。国内のROEの平均が9%程度なのだから、当然と言えば当然ですが、実に3割超の企業数です。そして、その半分程度は実際に取締役再任を否決したとのこと。

 こうした様子なので、企業年金連合会の会員でもある松下電器産業のROEの当面の目標値は10%なのかもしれません(2007年3月期の松下のROE実績は5.6%)。

 ROEはもはや、「これくらいあったら良いな」という感覚的なものではなく、企業のオーナーである投資家たちが正面から要求してくるものです。しかも敵対的な買収者といった類の投資家ではなく、国内大多数の大手企業を会員とする、正当な投資家です。

 

 ここで問題です。以下のことばは、誰が発したものでしょうか?

『日本企業のROEの低さに時々困惑する。会計制度の違いなどなら納得できるが、低いROEが長く続けば投資としては最終的に失敗する』

 「日本企業」と語る以上、海の向こうからでしょう。「投資は失敗する」という以上、投資家です。海の向こうでもっともその言葉に説得力がある、つまりもっとも投資に成功している投資家であれば、誰も文句が言えません。

 答えは、ウォーレン・バフェットです。成功する投資家は、ROEを要求するという、この上ない実例でしょう。

 web上で「バフェット」と「ROE」で検索すると、たくさんのサイトに行き着きます。参照してみてください。

 

  1. ROEって何?(2007.7.19)
  2. ROEを目標とする企業たち(2007.7.24)
  3. ROEを要求する投資家たち(2007.8.1)
  4. 会社法施行によって、面倒になったROEの計算(2007.8.6)
  5. ROEは分解することで、その意味が見えてくる(2007.8.13)
  6. ROEを目標にしてはいけない企業たち(2007.8.20)
  7. ROE向上の有効手段は自社株買い

ROEをさらに深読みしたい方は、こちらの書籍をご覧ください