仕事に向き合う姿勢について① 書籍執筆編「出版書籍累計12万冊を超えて」


出版した紙版書籍7冊たちがそれぞれ版を重ねているので、いったい全部で何部刷ったのかを久しぶりに数えてみたところ、累計12万冊に達していました!

最近は仕事で初めてお会いする方も、「大津さんの本、読んだことあります」と言っていただける機会が増えたように思います。書籍は、時に仕事や人脈を運んで来てくれる、私にとって貴重な存在です。デジタルの時代ではありますが、アナログ書籍の力もやはり絶大です。

ご購入いただいた皆さま、ありがとうございます!

 

書籍執筆において、大切にしている5つのこと

紙版書籍たった7冊の著者ですので、あまり大そうなことは言えませんが、私が書籍を執筆する上において、大切にしている5つのポイントを書き出してみます。

 

1.普遍性を大切にする

執筆時にブームになっている言葉やフレームワークを前面に押し出すのではなく、いかなる時代においても大切とされる普遍的なことば、考え方に重きを置くようにしています。販売面での爆発力は必ずしも期待できませんが、いかなる社会人にとっても大切なコンテンツだからこそ、長きにわたって愛される書籍となっていくことに主眼を置いています。私にとっての最初の出版であった「企業価値を創造する会計指標入門」は、2005年の出版から足掛け11年経過しましたが、おかげさまで今日でも定期的に版を重ねております。

 

2.最新の企業ケースを使用する

様々な会計のことばや考え方を伝えるにあたって、できる限りリアルな企業の最新の数値を使用するようにしています。架空の数値を使用した方が執筆の負担は軽減されますが、大切なことが現実味をもって読者に伝わりきるかというと、必ずしもそうではないと考えるためです。企業の動向は目まぐるしく変わるため、最新のケースと思っても数年後には古いケースとなっていきます。できる限り普遍的な優位性を持ち、これが会計数値にしっかりと現れていると考える企業をケースとして採用することに重きを置いて、妥協しない執筆を心がけています。2007年に出版した「戦略思考で読み解く経営分析入門」では、12の重要な会計指標を、もっとも最適と考える12の企業ケースを用いて解説しました。本書も出版から来年で10周年を迎えますが、定期的に版を重ねていることから、私の思いはある程度実現できていると考えています。

 

3.インタラクティブ性を重視する

講演でも書籍でも、よほど面白い内容でないと、オーディエンスはだんだんと眠気が増してくるものです。一般的に会計やファイナンスが面白くて仕方ない、という方は、世の中では残念ながらマイノリティです。だからこそ、書籍では可能な限りインタラクティブ性を重視しています。「内製化する企業の方が利益率は高くなります。」と言われれば、「あ~、そうなんだ~」で終わってしまいますが、そのあとに、「なぜ内製化した方が利益率は改善するの?」と問いかけられれば、人間は否応なく考える習性を持っています。大学院や企業内研修で行うクラスもすべてそうですが、一方的な講義ではなく、学生や受講者の頭を可能な限りフル回転させることを重視しています。書籍においても、これを実践することによって、2次元の書面が3次元の空間となるよう心がけています。「ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力」では、書籍に登場する社会人学生たちと私がインタラクティブに質疑応答を繰り返しながら、結論に至っていく様子を描いています。

 

4.本で学べることは本で学ぶ

長い間ビジネススクールで指導していると、初学者の学生はおおよそ同じ場所で同じような質問をしてくることに気が付きます。交通事故が起きやすい場所の前には必ず、「事故多し、カーブ注意」などの標識が立っています。同じように、初学者が必ずつまずくとわかっていることであれば、それは教室に来る前にしっかりと把握しておくことで、学生の負担を軽減することが可能です。そしてそれを完璧な理解へと導き、実務への発展を行う場所が、教室というのが理想でしょう。「ビジネススクールで身につけるファイナンスと事業数値化力」では、初学者がつまずきやすいポイント、私がビジネススクールで実際に受けてきた質問を31のFAQにまとめ、私と社会人学生(FAQさん)とのインタラクティブなやり取りによって、正しい理解へと導いています。

たとえば、「NPV法があるのに、なぜうちの会社は回収期間法なのですか? キャッシュフローを割り引くなんて、そんなこと実際に企業はやっているんですか?」は、良く受ける実務的な質問の一例です。私がどのように返答するか、詳細は書籍上でのやり取りをご覧ください。

 

5.ビジョンが先、販売部数は後

ヤマト運輸創業者・小倉昌男氏の「経営学」にある、「サービスが先、利益は後」を真似てみました。書籍を書く際には、自分が世の中に一体何を伝えたいのか、どのような貢献を果たしたいのかという、執筆に関するビジョンを思い描きます。300ページを超える書籍1冊を完成させるのは、それなりの時間を要します。だからこそ、自分が本当に書きたいと思えること、伝えたいと思えるコンテンツがあって、初めて書籍の執筆を始めます。もちろん、出版社も商売ですから、売れないと思われるテーマはスクリーニングしていきますので、著者としてはまず、「ビジョンが先、販売部数は後」で良いのだと思います。2012年に出版した「英語の決算書を読むスキル」、2013年に出版した「会計プロフェッショナルの英単語100」は、ともに「会計×英語」をテーマにしたものです。一般的には日本人が苦手意識を持つ2つの分野で、専門家の領域と考えられがちです。しかしながら、グローバルでビジネスを行っていく上での世界の共通言語は、英語であり、会計数値です。これを専門家向けではなく、広く一般社員の方に扱いやすい書籍として、ケーススタディを主とした書籍と、100の会計用語と活用事例(海外企業経営者の生の言葉を100以上掲載)をまとめた書籍を執筆したい、との思いから両著は実現していきました。

ヤマト運輸がサービスを先行させ、追って利益を稼ぐ大企業になったように、志が正しければ、最終的には利益に結びつくことを示しています。拙著2冊もビジネス書籍での合格ラインとされる紙版1万部をともに突破し、電子書籍も併せて順調に版を重ねて今日に至っています。

 

書籍と大学院、書籍と企業内研修といった双方向のやり取りがあって、初めてどちらも質の良いコンテンツになっていくものと、過去20年に及ぶ教育業界での経験から身をもって感じ取っています。これからも双方への取り組みを大切にしながら、さらに良いコンテンツが発信できるように、努力してまいります。

 

執筆に関するお問い合わせは、こちらよりお願いいたします。

 

大津広一 執筆書籍

企業価値を創造する会計指標入門」(ダイヤモンド社)(2005年)

ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力」(日経ビジネス人文庫)(2007年)

戦略思考で読み解く経営分析入門」(ダイヤモンド社)(2009年)

ビジネススクールで身につけるファイナンスと事業数値化力」(日経ビジネス人文庫)(2010年)

英語の決算書を読むスキル」(ダイヤモンド社)(2012年)

会計プロフェッショナルの英単語100」(ダイヤモンド社)(2013年)

ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力<ビジネスモデル編>」(日経ビジネス人文庫)(2014年)

 


著者

大津 広一

株式会社オオツ・インターナショナル代表
米国公認会計士、経営コンサルタント

早稲田大学大学院ビジネススクール客員教授
多摩大学大学院ビジネススクール客員教授
慶應義塾大学理工学部管理工学科非常勤講師