ビジネススクールで身につける 会計×戦略思考

7年ぶりに書籍を出版します。

ビジネススクールで身につける 会計×戦略思考」(日本経済新聞出版)

2007年に出版した「ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力」(日経ビジネス人文庫)を全面リニューアル、単行本としてのデビューとなります。文庫本は長年にわたって読者の皆様にご愛読いただき、累計で7万部弱にまで達しました。ご購読いただいた読者の皆様、推薦いただいたパートナー企業、クライアント企業の方々に、この場を借りて深く御礼を申し上げます。

多くの読者に前著を読んでいただけたのは手に取りやすい文庫本であったことが一因にあると思います。一方で、書店では日経ビジネス人文庫コーナーにしか置かれず、「会計の書籍」として会計コーナーに置かれる機会がなかったことに、著者としてのもどかしさも感じておりました。

今般使用ケースや使用事例を更新する機会にあたり、複数の章立てを加えてパワーアップした単行本としての出版に至ったことは、版元の日経BP(日本経済新聞出版本部)への感謝しかありません。

全15章は以下のように構成されています。

◆はじめに
1 会計の本質を問う質問は、「WHAT?」ではなく「WHY?」
2 なぜ「会計力」と「戦略思考力」なのか?
◆第1部 会計力
第1章 損益計算書(PL)はマトリクスで読む
第2章 貸借対照表(BS)を読み解く3つの基本法則
第3章 企業名のみから決算書を読み解く仮説・検証のプロセス
第4章 決算書の数値から企業活動を読み解く仮説・検証のプロセス
◆第2部 戦略思考力
第5章 「5つの力」で業界の競争環境を理解する 〈導入編〉
第6章 「5つの力」で業界の競争環境と会計数値を読み解く 〈応用編〉
第7章 バリューチェーンで事業の内部環境を理解する〈導入編〉
第8章 バリューチェーンで同業2社の経営戦略と会計数値を読み解く〈応用編〉
第9章 4つのPでマーケティング政策を理解する 〈導入編〉
第10章 STPとマーケティングの4Pで同業2社のマーケティング戦略と会計数値を読み解く〈応用編〉
◆第3部 発展編
第11章 分析の有効なツールとなる会計指標の活用
第12章 トヨタ自動車の連結決算書と単体決算書を対比する
第13章 キヤノンの連結キャッシュ・フロー計算書を読む
第14章 損益分岐点分析により、利益を生み出す仕組みを作る
第15章 IFRS決算書を分析するための9つの着眼点
◆ エピローグ 〜 会計に向き合っていくために

改定にあたり、決算書は可能な限り最新の決算数値に更新しています。一方で、本著は「戦略思考で決算書を読み解く」ことに主眼を置いています。そこで、新型コロナ感染症の影響によって、当該企業が掲げる経営戦略と決算書が一時的に大きく乖離している場合は、敢えて2019年またはそれ以前の決算書を用いた解説を行っています。

第9章と第10章には、ネット通販、およびフィットネスジム業界を使って、新たな2章を書き下ろしました。また、昨今急速に移行が進むIFRS(国際財務報告基準)企業の決算書について、「分析」における重要な9つの着眼点も、すべて実際のケース事例を用いて書き下ろしています。

そのため、435ページという厚い書籍となりましたが、「戦略思考に根差した決算書分析の重要アプローチは、本著を持っていればOK」というレベルに仕上がったのではないかと考えています。読者の皆さま、日本の企業人の皆さまの「会計力」を高めたいという私の熱い願望の表れとお受け取りください^^。

電子版は2020年末より発売が開始し、紙版も2021年1月初頭より、書店の店頭に並ぶ予定です。ぜひお手に取って、ご覧ください。そしてご意見、ご感想もお聞かせください。

出版に7年のインターバルが空いたのは、いろいろな感慨もあります。同時に、7年空いたからこそ、自分が何を伝えたいのかがクリアになってきたという思いの方が強いです。

出版については、これで終わりではなく、ここから再スタートと思っています。

 

二の矢、三の矢も、どうぞご期待ください。