Key Performance Indicators (KPI)

その言葉が示す通り、

Key: 主たるものであること。何でもかんでもではない。

Performance: 企業活動に伴うものであること。机上の空論ではない。

Indicators: Indicate、すなわち特定の活動を「指し示す」ものであること。目的につながらないKPIは要らない。

 

経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略、財務戦略など、様々な戦略が企業内で打ち立てられます。もちろん、打ち立てることが目的ではなく、これを実行し結果を出すことがあくまで目的です。戦略が忠実に実行された場合、それが具体的にどのような形になって表れるかを予めつかんでおくことができれば、経営管理もスムースに運びます。

また、結果がすべて出尽くすのを待つのではなく、リアルタイムに経過を観測し、適切な是正措置を持続的に取ることにも寄与していきます。

 

早稲田大学ビジネススクールで2015年度より担当している選択科目、「企業分析と経営指標(KPI)」のクラス。2016年度のクラスが先日終了しましたが、期末試験の1つの設問として、以下のような課題を課しました。80分で5つの設問に答えてもらううちの1つの設問なので、解答時間にも決して余裕ある設問ではありません(^^)。同時配布されたのは、2016年度第2四半期のソフトバンクの連結財務3表のみ。もちろんそれ以外の資料は一切持ち込み不可です。

リンク先から解答例を見る前に、ぜひあなたも自分の思考を巡らせてみてください。制限時間は最大20分です。

 


 

【設問】

2016年7月23日の日本経済新聞上にて、ソフトバンクグループ財務部長は、インタビューで以下のように述べています。以下の財務方針に従った場合、ソフトバンクが経営指標として掲げるべき経営指標を2つ決定してください。また、配布するソフトバンクの連結決算書(2016年度第2四半期)から、同2つの指標の数値を計算し、財務方針との合致性を考察してください。なお、与えられていない情報については適切と考える仮説を設定してください。

 

  • 「期間損益とキャッシュフローのどちらが大事だろうか。僕は絶対にキャッシュフローだと思う。期間損益は悪ければ悪いなりに説明がつくが、お金がなければデフォルトする。だからキャッシュフロー経営が最重要。大型の案件に投資するときはレバレッジが高くなるが、誤解を恐れずに言えば、一時的に格付けが下がることは恐れない。大事なのは格付けが下がろうとも必要なお金が集まるかどうかだ。集まるのなら投資家が期待しているということだ。僕らはこうした機会を投資家にどんどん提供していきたいし、そういうダイナミックな案件をやるのがソフトバンクの特徴でもある」
  • 「いままでの話とは表面的に相反するけれども、揺るぎない安定性も大事だ。攻撃は最大の防御だが、防御あっての攻撃であることも事実だ。いかなるリスクにも対応できるシステムをつくるために何をしているか。一つは日本型メーンバンク制の活用だ。メーンバンクであるみずほ銀行はもちろん、他のメガバンク2行、大手信託銀行の方々とはコミュニケーションを欠かさない。孫社長はメガバンクの頭取と年に何回もトップミーティングをやっている。戦略の議論だ。ソフトバンクという会社がどこに行こうとしているのかをじっくり議論する。そういう関係があるから、いい投資案件があったときにメガバンクの理解が速い。だから機会損失をせずに大型の資金調達ができる」
  • 「もう一つはポリシーとして掲げる『キャッシュ・イズ・キング』。手元には少なくとも向こう2年以上の社債やローンの償還に耐えられるだけのキャッシュがある。普通の財務担当者にはもったいないと言われるかもしれないが、全然そんなことはない。いざというときに危ういのは借金がなくて預金も少ない企業だ」
  • 「価値があると思っていた資産が突然減損を迫られることもある。資金が必要になることもある。担保に入れていた株式が暴落したらどうするか。社債の償還が来たらどうするのか。社債市場は機能停止することもある。だからメーンバンク制は非常に大事だ。常に対等の立場で銀行と議論するには、逆説的だが銀行のサポートがなくてもちゃんとやっていける姿を見せることも重要だ。だからこそ銀行もポジティブに見てくれる」

 

解答例はこちら